お墓参りについて徹底解説!基本的なマナーや注意点も解説
2020年11月20日
毎年お盆やお彼岸の時期になると両親や自身の実家に帰り、お墓参りをするという方もいらっしゃるでしょう。一方で、「お墓参りの作法」にどのようなものがあるのかと問われたら、なかなか説明できない方も多いのではないでしょうか。
この記事ではお墓参りに際してのマナーや気をつけるべきポイントなどをご紹介します。
お墓参りとは
お墓参りは、その地に眠っているご先祖様や故人を弔い、冥福を祈るという行為です。または、結婚など人生において大きな出来事があったときや、元気に暮らしていることを墓前に立って報告するという意味合いもあります。いずれにせよ、亡くなった方に対して、感謝と供養の気持ちを表す場ということになります。
私たちがこうして生まれ今を生きていられるのは、ご先祖様が繋いでくれた絆があるからということに他なりません。そういった意味で、ご先祖様に挨拶をしに行くというのは非常に重要な意味を持ちます。
お墓参りの手順
さて、いざお墓参りに出向いて墓前に立ったとき、どのような手順でご先祖様を弔うのが正しいのでしょうか。一連の流れをここで確認してみましょう。
お墓の掃除
まずは墓地に備え付けてある、柄杓と手桶を用意しましょう。手桶には水を汲んで、墓前へ向かいます。まずは墓石に水をかけて、柔らかい布やスポンジで苔や汚れなどを取り除き掃除をします。このときタワシや歯ブラシなど硬い素材のものを使用すると墓石が傷ついてしまいますので注意しましょう。一緒に花立てや線香立てなども綺麗にしておきます。
お墓周りの枯れ葉、雑草などがそのままになっている場合はできる限りきれいに取り除きましょう。墓地に掃除用具が用意されている場合もあります。
墓石に打ち水
掃除ができたら、手桶に綺麗な水を汲んで墓石に打ち水をしてお清めをします。これは「ご先祖様の喉の乾きを潤してあげる」という意味があるとされ、仏壇にお水をお供えするのも同様の意味があるとされています。
お花と水、お供え物を供える
次にお供えをしましょう。お供え物は故人が生前好きだったもの、ゆかりのあるものを飾りましょう。お花は花立てに、お水は水鉢と呼ばれる墓石中央にある窪みの部分、もしくは湯呑などに入れます。お墓参りといえば菊の花が仏花とされていますが、必ずしも菊の花でなければいけないというマナーはありません。もしも故人が好きだったお花があるのなら、一緒に混ぜてお供えするのが良いでしょう。
このとき、故人がお酒好きだったからという理由で墓石に直接お酒をかけ流すという場合がありますが、お水以外は直接墓石にかけない方が良いです。墓石はアルコールに弱く、錆の発生や劣化を早める原因になってしまいます。お供えをしたい場合は、中身を出さずに容器ごとお供えしましょう。
お線香をあげて合掌
続いて、心穏やかにして合掌をしましょう。まずは、お線香に火をつけて線香立てに置きます。このとき、お線香に移った火を消すときは息で吹き消すのではなく手で仰ぐかさっと振って消すようにしましょう。これは、仏教において「口から吹いて出た息」というのは穢れがあると考えられているからです。その後、故人と血縁の濃い順番に一人ずつお線香をあげます。お線香をあげおわったら、数珠を持って墓前に向かって合掌をします。
お墓参り終了後はお供え物を持ち帰る
全員が合掌を済ませたら、片付けをしましょう。特に食べ物のお供え物は、そのままにしておくとカラスなどの野生動物が散らかしてしまったり、腐敗して墓石が汚れてしまったりしてしまいます。お供えしたものはその場で食べてしまっても良いですし、家に持ち帰ってから食べても構いません。墓前にお供えしたものをいただくことで、供養へと繋がるという意味合いがあるためです。借りた手桶や柄杓などの備品も、一度ゆすいでから返却すると次の人が気持ちよく使えます。
お墓参りに行くタイミング
お墓参りは、「絶対にこの時期に行かなければいけない」といったマナーは特にありません。「ご先祖様に会いに行こうかな」「亡くなったおばあちゃんに挨拶したいな」などと思いついたタイミングでお参りをするのが一番良いのです。ここでは、一年を通した中で多くの人がお墓参りに訪れる時期をご紹介します。
命日
命日には祥月命日と月命日の二種類があります。祥月命日は故人が亡くなった年月日を指し、月命日は月に一度の亡くなった日のことを指します。祥月命日には法要を行う場合もあり、例えば亡くなって一年後の命日には一回忌、二年後には三回忌、六年後には七回忌…と続いていきます。命日の当日にお墓参りをするのが難しいという場合は、前倒しをして時期をずらすということもあります。
お盆
もともと「お盆」という名前は仏教用語にあたる「盂蘭盆(うらぼん)」「盂蘭盆会(うらぼんえ)」から由来しており、故人に供物を捧げて供養するという行事のことを指します。そこから派生して、故人やご先祖様が年に一度、霊界から戻ってくる時期であるという信仰が日本では色濃く残っています。
お盆の時期は地域によって異なりますが、一般的には7月の13~16日、もしくは8月の13~16日に行うことが多いようです。この4日間の内訳は、初日にご先祖様や故人をお迎えし、2日目・3日目は法要を行いご先祖様や故人とともに過ごします。4日目にまた来年来てくださいねという気持ちを込めてお送りする、という流れです。
お彼岸
お彼岸は春分の日と秋分の日の当日とその前後3日間、合わせて7日間の期間を指します。仏教では生死の境目を流れる川のこちら側(生きている人間がいる場所)を「此岸(しがん)」と呼び、対岸のあの世のことを「彼岸」と呼んでいます。お彼岸の時期は彼岸と此岸が繋がりやすいと考えられているため、この時期にお墓参りをするという習慣ができました。寺院では「彼岸法要」が執り行われることもあります。
お墓参りの服装マナー
お墓参りは、基本的には普段着で構いませんが、周忌の法要などに合わせてお墓参りをするという場合は喪服を用意して参加するのが一般的です。喪服を着用するのは一周忌・三回忌までという場合が多く、七回忌以降は普段着でも構いません。
男性の服装
喪服の場合はブラックスーツを着用しましょう。普段着であれば、白や紺・黒などの落ち着いた色合いの服装がおすすめです。ルーズな出で立ちにならなければ、夏はTシャツでも大丈夫です。清潔感のある格好を意識しましょう。
女性の服装
喪服の場合はブラックフォーマルスーツを着用しましょう。服装の色合いに関しては男性と同じく落ち着いた印象のものを選んだほうが無難です。アクセサリーはパールなど目立ちすぎないものを選びましょう。
避けるべき服装
普段着で構わないとはいっても、レジャー感覚で遊びに行くような格好はあまり良い印象を持たれません。特に、派手すぎる柄や色合いの服装や露出が大きい服装などは避けるようにしましょう。暑い時期であるなら袖のあるものやストールなどを羽織りましょう。また、殺生を連想とさせるファーや毛皮のアイテムも着用しないことをおすすめします。
足元はスニーカーなど歩きやすいものにしましょう。足先やかかとが見えてしまうのはあまり良い印象ではないですし、墓地や霊園は道が整備されていない場合や石や段差も多く、怪我をしてしまう恐れがあります。
お墓参りで必要なもの
お墓参りをするにあたって、お参りだけをするのか、掃除も一緒に行うのかで必要なものが大きく変わります。まずはお参りをする場合に必要なものから見ていきましょう。
・お花
墓前にお供えするためのお花です。基本的には生花が良いとされていますが、墓地などのルールによって生花が禁止されている場合もありますので事前に確認しておきましょう。菊などに代表される仏花は傷みにくいとされているためよく用いられますが、仏花でなければいけないという理由はありません。
・お線香
宗派によって何本立てるかといったルールの違いがあるため、なるべく束で持ってくるようにしましょう。束のまま火をつければ、一人ひとりに配る際に効率的という意味合いもあります。
・ろうそくとマッチ、ライターなど
ろうそくはお線香に火をつける際に利用します。ただし、火をつけるものを直接お線香に当てて着火させるのはマナーとしてあまりよくないとされているため、できる限りろうそくを使いましょう。それ以外にも、墓前に燭台が設置されている場合はお参りの際に火をともします。
・数珠
宗派によって数珠の意味合いは異なりますが、人間の煩悩を引き受けてくれたり、魔除けのお守りになったりする意味合いがあります。本来の数珠は煩悩の数に合わせて108の珠がついている本式数珠と呼ばれるものになりますが、最近ではより手入れの行いやすい珠の数が減った略式数珠というものも流通しています。
次に掃除を兼ねてお参りをしたいという場合に持っておきたい掃除用具を一覧でご紹介します。
・ほうき
・ちりとり
・スポンジや柔らかい布
・軍手
・ゴミ袋
・バケツ(手桶)
掃除では、墓石を拭いたり、周辺の掃き掃除をしたりすることが中心になります。
バケツや手桶は墓地で借りることができる場合があるので、事前に確認しておくと、持っていく手間が省けます。
お墓参りのお供え物のマナー
お供え物の考え方として、「五供(ごくう)」というものがあります。香・花・灯燭(とうしょく)・水・飲食(おんじき)の5つで構成されています。香は線香で身を清めること、花は仏前にお供えをして感謝を伝えること、灯燭はろうそくに火をともして故人を供養すること、水はその場を清めること、飲食は食べ物を備えることで「生かされていることの感謝」を示します。このこともありお供え物は食べ物が選ばれることが多いのですが、一部タブーとされているものもあります。
おすすめのお供え物
前述した通り、お供えするものは故人が生前好きだったものやゆかりのあるものが多いです。せっかくお墓参りをするのですから、故人が喜んでくれるものをお供えしたほうがより心を込めて供養ができるでしょう。日持ちのするお菓子類やお酒、ジュースなどの飲み物類がおすすめです。ただし、お供えをするときは直接墓石などの上に置かないようにしましょう。懐紙などの上に置くことで汚れが防げますし、マナーとしても最適です。
避けるべきお供え物
仏教において、においや刺激の強い食べ物は古くから食べることを禁じられていた歴史がありました。その名残として、にら・にんにく・ねぎ・らっきょう・はじかみ(生姜、山椒)の「五辛(ごしん)」はお供え物としてはふさわしくないとされています。また、肉や魚も殺生をして得るものという意味合いでタブーとされています。そもそも、あまり日持ちしないものなのでお供え物としては適さないという側面もあります。
お墓参りの注意点
最後に、お墓参りをするにあたっての注意点を見てみましょう。気持ちよくご先祖様や故人を弔うために、しっかりと把握しておくようにしてください。
墓地や霊園のルールに従う
墓地や霊園にはそれぞれ独自のルールが存在することがあります。例えば開園時間が決まっている場合、朝の9時から夕方5時までという場合が多いとされていますが、必ず事前に確認を取るようにしましょう。その他、生花をお供えしてはいけない、火をつけてはいけない、ペットを連れてのお墓参りは禁止などのルールを設けている場所もあるようです。ここまでお墓参りの一般的な流れや持ち物を紹介してきましたが、訪れる墓地や霊園のルールにまずは従うようにしましょう。
宗派によるお墓参りの違い
同じ仏教だとしても、お参りをする順番やお線香をあげる順番などは宗派によって細かく分かれています。神道のお参りの場合、線香を使わずに玉串(榊)を用いるなどこれまでに紹介した流れとは大きく異なる場合もあります。宗派だけでなく、地域ごとによる慣習が残っているということもあり得ます。その場合、親族やお寺の住職さんなどにどのような手順で行えばいいのか聞く、お墓参りの同行者のお参りの方法を観察する、ということが大切です。
まとめ
お墓参りの基本的なマナーや気をつけるべきポイントなどをご紹介しました。最低限のマナーは必要ではありますが、お墓参りをするにあたって一番のポイントはご先祖様や故人を弔い、供養する気持ちが重要です。
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