お墓参りにふさわしい時期はあるの?お墓参りの時期について解説
2020年12月4日
お墓参りは難しい決まりごとが多いように感じますが、大切なのはご先祖様を想う気持ちです。とは言え、ある程度ふさわしい振る舞いや手順などは知ってきたいものではないでしょうか。お参りするべき決められた時期はあるのか、手順や服装などはどのようにすればよいのかなど、お墓参りにまつわる一般的な知識をご紹介します。
お墓参りの頻度や回数は決められているの?
はじめに、お墓参りはどのぐらいの頻度でするのが好ましいのか、回数に決まりはあるのかなど、お墓参りの予定を立てるうえで必要となる基本的な知識から見ていきます。これを機に、お墓参りついて見なおしてみてはいかがでしょうか。
お墓参りはご先祖様と自分を繋ぐ場所
お墓参りの頻度について知る前に、まずはお墓参りの意味そのものを考えてみましょう。お墓は、ご先祖様があの世で安心して過ごしているよう祈る場です。また、自分たちの近況報告をする場でもあります。
ご先祖様に想いを馳せることで命の繋がりを実感し、自分が元気に暮らしていることへの感謝の気持ちを抱きます。就職や結婚が決まった際など、家族そろって墓前で報告をすれば、みんなで喜びを共有するきっかけにもなるでしょう。心を落ち着かせる目的で、ご先祖様に手を合わせる方もいるようです。
負担にならなければ頻度や回数に決まりはない
そうしたお墓参りの意味を考えると、ルールがどうかと言うよりも「行きたい」という気持ちが大切だと気がつきます。実は、お墓参りの頻度や回数に明確な決まりはありません。行きたいと思ったときには、いつでも行ってよいのです。昔は家のすぐそばにお墓を建て、毎日のようにお参りをしていた方もいたようです。
しかし、現代ではお墓のある場所と離れて暮らしている方も少なくありません。自身や家族にとってお墓参りが苦痛にならないよう、負担のかからない頻度で行くようにしましょう。
お墓参りに行くといい時期を知っておけば予定を立てやすい
お墓参りの頻度や回数に決まりはありませんが、「この日にお参りするとよい」といった目安はあります。目安の時期に合わせてお墓参りをすることからはじめ、少しずつお参りの頻度を上げていくのもいいかもしれません。
お墓参りにふさわしい時間はある?
「お墓参りは午前中にしたほうがよい」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。お墓参りの時期や時間については、霊的な意味を含んだ話や昔からの言い伝えなどさまざま聞きますが、午前中にしたほうがよいというのは本当なのでしょうか。理由も含め、見ていきます。
以前は午前中がよいと言われていた
一般的には午前中のお参りが理想とされていますが、本来お墓参りの時間にも明確な決まりはありません。午前中がよいとされているのは、個人の用事よりも、ご先祖様を優先することが大切だと考えられているからです。そのため、時間にこだわるよりも、用事のついでに足を運ぶ「ついで参り」を避けるようにしましょう。ゆったりとした気持ちでお参りをするためにも、遠方でなければ午前中に行くといいです。
小さな子や高齢の家族がいる場合は負担のない時間帯を選ぶ
午前中がよいとされる理由には、朝のほうが暑さをしのげるからという面もあります。とくに夏場の日中は気温が上がりやすく、熱中症などのリスクも高まります。お参りの際には墓石の掃除や周囲の草むしりをする方も多く、小さな子どもや高齢者にとっては負担となりやすいため、なるべく涼しい午前中が好ましいと考えられているのです。
夜のお墓参りは避ける
自宅からお墓が遠く午後になる場合でも、夜のお参りは避けるようにしましょう。禁止されているわけではありませんが、お墓は段差や砂利も多く、転んでケガをしやすくなります。死角の多い墓地では、防犯上の理由からも夜の訪問は避けるほうが無難です。また、暗くなると墓石の汚れも見えにくく、せっかくの掃除も満足にできないかもしれません。
夜のお墓参りが避けられているのは、心霊現象などを想像する方も多いかもしれませんが、実は安全面などの理由が大きいのです。霊園や寺院は24時間開園していないところもあるため、午後に行く場合は閉園時間も確認しておきましょう。
お墓参りの時期①:お盆
仏教では、お盆・お彼岸・祥月命日にお墓参りをするのが一般的とされています。それぞれの意味や、スケジュールの組み方について見ていきましょう。まずは、お盆についてです。お盆の時期は、地域によって異なります。
お盆とは
多くの方がお墓参りをする時期のひとつに、お盆があります。お盆とは「ご先祖様の霊が帰ってくる」とされている時期で、一般的には8月13日~16日です。沖縄など旧暦でお盆をする地域や、反対に新暦に合わせてお盆を移行した東京の一部地域などでは、7月中旬に行うこともあります。
お盆のお墓参りスケジュール
お盆は、8月13日にご先祖様の霊をこの世に迎え(迎え盆)、8月16日に再びあの世にお見送りする(送り盆)とされています。その間、ご先祖様の霊が滞在する精霊棚(しょうりょうだな)を準備し、お膳などお供え物をするのが一般的な習わしです。そのため、8月13日の午前中にはお墓に参り、ご先祖様の霊をお迎えするのが理想とされています。8月16日に再びお墓へ参り、お見送りをする地域もあるようです。
お盆中にお墓参りできないときは?
お盆中にお墓参りができないときは、まず霊園や寺院の僧侶に相談してみましょう。墓石の数が少ない場合など、代わりにお墓の掃除をしてくれる場合もあります。ほかにも、お墓掃除の代行業者に依頼するのも、ひとつの手です。地元を離れるなどで、今後もお参りは難しそうだと負担に感じている場合は、石材店などに依頼して自宅の近くにお墓を移すことも検討してみましょう。
お墓参りの時期②:お彼岸
次に、お彼岸について見ていきましょう。お彼岸は年に2回存在します。お彼岸の時期にお墓参りをするには、どのようなスケジュールになるのでしょうか。お彼岸の時期に行われる、供養法要についても紹介しています。
お彼岸は春と秋の年2回
お彼岸は仏教行事で、煩悩の多いこの世「此岸(しがん)」から、悟りの境地であるあの世「彼岸」へ行くための修行のことです。難しく聞こえますが、それらの修行を通して、ご先祖様や自然に感謝の気持ちを示す日と考えられています。春と秋の年2回あり、春分の日と秋分の日を中日とした、前後3日間がお彼岸にあたります(春と秋それぞれ7日間)。お彼岸に仏様の供養をすることで極楽浄土に行けるという考えから、この時期にお墓参りをするようになりました。
お彼岸のお墓参りスケジュール
お彼岸の初日を「彼岸の入り」と呼び、最後の日を「彼岸の明け」と呼びます。彼岸の入りから彼岸の明けまでの期間は、どの日にお墓参りをしても、とくに問題はありません。ただし、彼岸の明けまでにはお参りを済ませておくことが好ましいでしょう。
春分・秋分の日は祝日のため、この日にお参りに行く方が多いようです。そのため、混雑することもあります。ゆったりとお参りしたい場合は、祝日を避けてスケジュールを立てるといいでしょう。
寺院によっては供養法要があるところも
寺院によっては、お彼岸の時期に法要を行うところもあります。彼岸法要と呼び、僧侶の読経とともにご先祖様を供養するのが一般的です。寺院によっては合同でお彼岸法要を行うこともあります。服装は喪服でなくても構いませんが、派手な色の服装は避けたほうが無難でしょう。できるだけ落ち着いた色のシンプルな服装が好ましいです。
その他のお墓参りの時期
お盆やお彼岸の時期でなくてもお墓参りをするとよいでしょう。具体的にどのようなタイミングでお墓参りすればよいのか、お盆やお彼岸以外の適した時期について見ていきます。祥月命日など、お墓参りできるときにはご先祖様に挨拶してみてはいかがでしょうか。
命日のお墓参り
故人が亡くなった月を祥月(しょうつき)、日を命日と呼びます。亡くなったその日を命日と呼ぶ方が多いようですが、亡くなったその日を表す場合はふたつを合わせた祥月命日が正しい呼び方です。つまり●月▲日に亡くなった場合、●月を祥月、▲日を命日、●月▲日は祥月命日と呼ぶ、ということです。また、●月を除く毎月▲日を、月命日と呼びます。
お墓参りはご先祖様や故人を想う行為であるため、こうした祥月命日や月命日にする方も多いようです。
年末年始のお墓参り
実家から離れて暮らしている場合、年末年始の帰省のタイミングでお墓参りをする方も多くいます。二重苦を連想させる29日や、一夜飾りを連想させる31日は縁起が悪いという話も聞きますが、これらはあくまでも迷信です。年末年始では、本来避けるべき日はありません。
ただし、地域の風習で年末のお墓参りは避けられているなど、気になる場合は早めにお参りしておくとよいでしょう。また、年末はお寺側も慌ただしいことがあるため、配慮が必要です。
大きな出来事があったときのお墓参り
人生には進学や就職のほか、結婚や子どもの誕生などさまざまな出来事があります。こうした人生の節目にお墓を参り、ご先祖様や故人に報告をするのもよいでしょう。ご先祖様に感謝の気持ちも込めて手を合わせます。必ず参らなければいけない節目があるというわけではありませんが、近況報告したいタイミングで参るとよいでしょう。
仏教以外の宗教のお墓参りの時期は?
ここまで仏教のお墓参りについてご紹介してきましたが、信仰している宗教によりお参りの時期に違いはあるのでしょうか。キリスト教や神道の場合、いつお墓参りをすればよいのか見ていきます。
キリスト教の場合
日本の霊園には宗教を問わないところもあり、キリスト教のお墓を建てている方もいるでしょう。キリスト教のお墓参りも、時期に大きな決まりはありません。しかし、カトリックでは死者の月とされる11月に、プロテスタントでは亡くなった1か月目の日を昇天記念日とし、死後5年間は毎年昇天記念日にお墓参りをすることが多いようです。
神道の場合
神道では、お参りの作法など仏教と異なる点もありますが、一般的には仏教と同じように、お盆や命日にお墓参りをします。また、初七日や四十九日など仏教の法要を、神道では霊祭と呼び、このときの神事に併せてお墓参りをする方もいます。
お墓参りの流れと服装
最後に、仏教式のお墓参りの流れや、お墓参りに適した服装などを見ていきます。ご先祖様に失礼のないように、基本的なマナーを知っておくが大切です。お墓参りに持っていくといい準備物も紹介します。お墓参りをよくする人も再確認してみましょう。
お墓参りに持っていくといいもの
お墓参りに持っていくものは、主にお供え物と掃除道具です。
・お供え物(生花やお菓子、果物など)
・お線香
・ロウソク
・タオルやスポンジ
・ゴミ袋など
お供え物は、生花や果物などが一般的です。そのほか、ご先祖様が生前好んでいたお菓子や飲み物が分かっている場合には、それらをお供えすると喜ばれるでしょう。また、墓石を磨くスポンジなどは、傷がつかないよう柔らかい素材のものを用意します。最後に墓石の水気をしっかりと拭き取るため、掃除用・仕上げ拭き用と使い分けられるようタオルは複数枚持っていくと便利です。
何度かお墓参りをするなかで、掃除をする際に使う軍手や合掌する際の数珠など、自分なりに必要な道具を付け加えていきましょう。
お墓参りの流れ
霊園などに着いたら、まずは手を清めます。その後、お墓に参る前に手桶などに水を汲んでおきましょう。墓石に水をかけたり、掃除をしたりする際に水が必要です。寺院墓地では、お墓参りの前に本堂にもお参りしておきます。
お墓に着いたら、周囲の雑草を取り除いたり、墓石や水鉢をきれいにしたり、掃除からはじめます。お墓がきれいになってから、お供え物を置いてください。お菓子などを置く場合には、半紙を下に敷くとよいでしょう。
最後に、お線香に火をつけて合掌します。合掌の際、数珠があれば手にかけておきましょう。日頃、ご先祖様がお世話になっているという感謝の気持ちを込めて、隣のお墓にお参りする方もいるようです。
帰る際には、お供え物や掃除で出たゴミはすべて持ち帰ります。
お墓参りの服装
お墓参りでは、服装の決まりはありません。しかし、華美な装飾や香りのきつい香水などは避けたほうが無難です。心を落ち着けてご先祖様とお話をするためにも、なるべく明るい色や露出も控えるようにしましょう。
また、お墓周辺や墓石の掃除をするため、動きやすく汚れてもよい服装が理想です。段差や砂利が多いことも考えると、足元はヒールのない靴のほうがケガもしにくいかもしれません。
まとめ
お墓参りは、お盆やお彼岸など目安の時期はあるものの、行きたいと思ったときにお参りして構いません。難しく考えすぎず、ご先祖様に感謝したり故人を偲んだりする気持ちを大切にしましょう。
また、お墓のことで悩んだときは、プロに相談するのもひとつの手です。とくに、お墓が遠方にあってお参りが負担に感じはじめたときは、墓石の引っ越しも検討してみましょう。和泉家石材店は、創業130年の歴史を持つ墓石店です。大切なお墓を身近に感じられるよう手助けいたします。ぜひお気軽にご相談ください。