お墓に造花を供えるのは問題ない?基本的なルールや購入方法をご紹介
2020年12月18日
お墓参りを行う際に、墓前にお花を供えることは日本に広まっている慣習のひとつです。本来は生花をお供えすることが多いと思われますが、近年ではお墓に供えるお花として造花を用いるご家庭も増えつつあります。
この記事では、墓前に造花を供えても大丈夫なのか、墓前にお花を供えることは実際にどういった意味を持つのかを解説していきます。
お墓に供えるのは造花でも大丈夫?
お墓参りの際に、マナーの1つとして墓前にお花を供える方は多いでしょう。しかし、近年では生花ではなく造花がお供えされていることもあります。ここでは、実際に造花をお供えすることは、お墓参りに関するマナーとして問題ないかを解説します。
生花でないといけないというマナーはない
墓前に花を供える際には、生花と造花のどちらを用いても問題ありません。元々は生花を用いていましたが、近年になって造花が普及してからは、造花を用いる方も増えつつあります。
墓前に供え物を行う際のマナーとしては、故人を悼む意思を持ってお供えすることが重要です。宗教上の理由や家のしきたりなどが特になければ、生花と造花のどちらを供えても良いといえます。
なお、墓地の管理人が常駐していない、立地や気候が悪いなどの理由で、生花よりも造花を用いることを推奨する施設もあるようです。新しくお墓を建てた、あるいは親族のお墓にお参りに向かう場合などは、霊園や寺院などに直接確認することをおすすめします。
そもそもお墓にお花を供える意味
墓前にお花を供えるようになった理由は、故人に対する慰霊、墓石周りの虫よけなどが挙げられます。日本国内で土葬を実施していた頃は、お墓の周辺に動物や虫などが寄り付きやすいという問題がありました。虫や動物をお墓から遠ざける手段として、毒を持つ花や植物を植えたり供えたりしたことが、墓前に花を供える習慣の始まりであったとされます。
現在の日本で墓前にお花を供えるのは、土葬を実施していたころの風習が一部残っていることが理由のひとつとして考えられるようです。お花を供える行為は、故人に対する弔い、あるいは尊敬を表すことがおもな目的の1つです。仏教の宗派によっては、線香の香りや生花の香りが故人にとって食事代わりになるという考え方もあります。
一説によると、お釈迦様が仏さまになる前の修行をしている頃に、燃灯仏という仏さまを供養するために青蓮華という花を購入して供えたという説話があります。故人を供養する際にお花を供える行為は、修行をしている頃のお釈迦様が始めたといわれています。
お墓に造花を供える際の注意点
造花は生花と比べると長持ちしやすく、安価であることがおもな利点です。一方で、墓前へのお供えとして造花を用いる場合には、いくつか気を付けておきたいこともあります。お供えをする前に確認しておきたい事、お供えをしてから忘れずに実施するべきことをそれぞれ個別にご紹介します。
親族に確認する
墓前に造花をお供えする習慣は近年広まりつつありますが、歴史やしきたりを重視する人の中には、造花を用いることを良しとしない人もいます。地域単位での風習として生花を用いる場合もあるので、造花を用いる際には、親族やお寺の住職などに確認を取るようにしましょう。
節目には生花を供えるのがおすすめ
定期的にお墓参りに出向くのが困難である方は、普段は造花をお供えしておいて、お墓参りに来た際には生花をお供えすることをおすすめします。造花を用いても良い墓地であれば、お墓参りに来られない時期でも、造花を供えておくことで故人への敬意や弔いを表せるという利点があります。
ある程度定期的にお墓参りができる方は、普段は造花を用いている場合でも、お盆やお正月などの節目には生花をお供えすることをおすすめします。墓前に生花を供える行為は仏教における修行の1つとされており、ご先祖様に対する供養を行う方法として実施されていることです。
現代においては、お墓参りの際に生花を供えて、日頃は造花を供えておくという方が増えつつあります。枯れない造花を用いることでお墓を彩りつつ、お墓参りに来た際には供養の気持ちを込めて生花をお供えするという供養の仕方は、特にこだわりや風習が無ければ問題ない手法であると考えられます。
なお、生花はある程度の時間が経つと枯れるものなので、お墓参りが済んだ時点で造花に差し替えるか、施設管理者に回収してもらうように依頼することをおすすめします。
長く供えてゴミにならないよう気をつける
造花は化学繊維で作られた物が多く、屋外に放置していても1年ほど品質を保てます。しかし、長く供えすぎていると表面が色あせたり、ひび割れが生じたりすることで見た目が悪くなってきます。気象条件や見る人の考え方などによって造花の換え時は異なるので、故人の命日やお正月、お彼岸といった節目に合わせて造花を替えると良いでしょう。
なお、一般的な造花は非常に軽く、何本か束ねた状態でも風で飛ばされてしまうリスクがあります。造花自体が軽いことに加えて、容器に水を入れないことも、造花が風で飛ばされやすい原因のひとつです。もし造花が風で飛ばされてしまうと、どのお墓に供えられていたものか分からなくなり、廃棄物として処分されてしまうことになりかねません。
屋外のお墓に造花をお供えする場合には、底が深くて重みのある容器へ造花を配置する、あるいは固定用の重りを付けておくことをおすすめします。
生花との違い
お供え物として造花を用いる際には、生花と造花はどういった違いがあるか、墓前に供えることでどういった影響があるかを理解しておくとスムーズに作業を進めやすくなります。
長く供えられる
造花の素材や置かれている環境によりますが、造花は1年間ほど日持ちします。近年では屋外に置くことを想定したプリザーブドフラワーも流通しており、生花に近い見た目で日持ちする造花を供えられるようになっています。
加えて、造花は水を用意する必要がなく、時間経過によって枯れるということもありません。水や花びらによってお墓周りが散らかる心配がないので、お墓参りにこられる頻度が低い方でも長く供えておけるというのが造花を用いるメリットです。
複数人が利用する寺院墓地や共同墓地である場合、自家の墓前に造花を供えておくことで景観を良くする効果も見込めます。他のお墓へお参りに来た人にとっても、お花が供えられている光景を見ることで気分的に落ち着く効果もあります。墓前に枯れた生花を置くことを避けたい、なにも供えられていない状況を避けたいという場合に、造花を供えるのはおすすめできる方法です。
生花の香りや質感が異なる
お供え用の造花はポリエステルやポリエチレンなどの化学繊維で作られていることが多く、生花のような香りはありません。見た目に関しても、造花は色合いや質感などが生花とは大きく異なります。
生花をコーティングしたプリザーブドフラワーは生花に近い質感を持ちますが、香りは付いていません。仏教では花が放つ香りを故人の食事として扱うという宗派があるので、造花やプリザーブドフラワーをお供えすることは良くないという考え方もあります。よく検討せずに造花をお供えすると、親族や墓地の管理者との間でトラブルが発生するリスクも無いとは限りません。
造花に関するトラブルを防ぐには、なるべく生花を供える、あるいは造花と線香を合わせて供えるなどの方法をおすすめします。花の香りと同じく、線香から発される煙は故人の食事になるとされているので、造花を用いる際には線香を合わせてお供えすることを心がけましょう。
造花を購入する方法
お墓に供えるための造花は、仏具店やホームセンター、インターネット通販などで販売されています。お墓に供えることを想定して、仏花のように束ねてデザインされた造花も近年は増えつつあるようです。
近年では100円均一ショップ(100均)で販売されている造花も増えており、アレンジの仕方によっては低コストで優れたデザインの仏花を製作できます。仏花にする場合は白・黄・紫の3色、あるいは白・黄・紫・赤・ピンクの5色を組み合わせることが一般的です。仏花の本数は3本・5本・7本のいずれかにすることがマナーとされているので、本数に応じて色の組み合わせを決めることをおすすめします。
仏壇に供えるのも造花で良い?
自宅の仏壇にお花を供える際に、造花を使用することは問題ありません。仏壇のサイズに合わせて購入する造花を選ぶことで、仏壇周りの見た目を良くできます。湿気や直射日光を避けていれば、造花はとても長持ちするものです。
仏壇に供える際には、木材やアルミなどの表面に金メッキを施した「常花」というものや、プリザーブドフラワーなどの造花が適しています。
仏壇にお供えする場合、プリザーブドフラワーが持つ年数は1年~2年で、常花は素材や保管状況によって使える年数が大きく異なってきます。仏壇のサイズや仏具の揃え方によって適宜買い替えるようにすると、低コストで仏壇に造花をお供えできます。
仏壇に常花を飾る際には、左右に1対ずつ、あるいは1つだけ飾ることが多いです。同じく仏壇に飾る香炉やロウソク立てと合わせて、1つずつ飾る場合は「三具足」、常花とロウソク立てを1対ずつ、香炉を1つ飾る場合は「五具足」として扱います。
仏教では常花・香炉・ロウソク立てを最も基本的な仏具として扱っている宗派が多く、常花を供えると仏壇の格式が上がるという考え方もあります。
なお、宗派や家ごとの考え方によっては常花を使わず、生花を供えることを重視するところもあります。浄土真宗では常花を用いないので、仏壇を整える際には親族と十分に相談してから常花を購入するかどうかを決めるようにしましょう。
まとめ
墓前にお花を供えることは、故人に対する弔意を表す意味があります。近年では造花をお供えする習慣が広まりつつあり、故人を弔う意思があれば、造花と生花のどちらを用いても問題はないです。とはいえ、昔からの風習に沿って、墓前には生花を供えたいと考える方も多数いるかと思われます。墓前に造花を供えようとする際には、親族や住職、墓地の管理者などに相談しておくことが、お花の供え方に関するトラブルを防ぐポイントです。
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