お墓の永代使用料は何のための費用?相場やその他必要な費用も解説
2021年1月25日
お墓を購入する時に必要な費用のひとつに「永代使用料」があります。お墓を建てる区画の売買が認められていない霊園において、永代使用料は区画使用の権利を取得するために欠かすことができない費用です。
この記事では永代使用料の基礎知識から相場価格まで詳しく解説します。
お墓の永代使用料とは
お墓の永代使用料はお墓を建てる際に必要な費用のひとつで、墓石代と並んで高額になる傾向にあります。ここでは永代使用料の意味から税金まで詳しく解説します。
永代使用料は墓地の使用料
お墓の永代使用料とは「永代に渡って土地を使用するための料金」のことで、墓地内のお墓を建てる区画の使用権を取得するために支払うものです。墓地を管理する寺院や霊園の管理者や所有者に対して、初回の契約時に1回のみ支払います。
永代使用料に消費税はかかる?
宗教法人が執り行う宗教行為は非課税となります。したがって、永代使用料は土地の購入にはあたらず消費税や贈与税も発生しません。
一方で、墓石やその建設工事代、施設の管理費は物やサービスを提供することで利益を得ているため消費税がかかります。
永代使用権とは?
永代使用権は永代使用料を支払って取得した権利のことを指します。永代使用権は民法やその他の法律において定められた権利ではなく、古くから習慣的に用いられてきたものです。したがって、権利の詳細は法律による規定ではなく墓地との契約によって決定します。契約する寺院や霊園や地域などによって契約内容が異なるため、契約の際はしっかり契約書を確認するようにしましょう。
ここからは一般的な永代使用権の「期間」や「返還」、そして「相続」についてご紹介します。
永代使用権の期間
「永代」には「永世」や「限りなく続く世」という意味があります。永代使用権もその名の通り未来永劫、子孫が続く限り権利が保証されていると思われがちですが、必ずしもそうではありません。永代使用権を取得した後は、寺院や霊園の管理者に「管理費」を支払わなければならないケースがほとんどです。この管理費を支払い続けている限りは墓地に関する権利は保証され続けます。
しかし、管理費の支払いを滞らせてしまうと権利が消滅する恐れがあります。権利が失効になってしまうとお墓の管理者の判断によってお墓を撤去・解体することが可能になってしまいます。支払いが滞ると即座にお墓が撤去・解体されるわけではありませんが、末永くお墓を維持したのであれば管理費の支払いは確実に行っていきましょう。
使用権の返還
お墓が不要になった場合、使用権は管理者に返還します。使用権を管理者に返還するケースには墓じまいや、改葬などでお墓が必要ではなくなったケースなどがあります。しかし、権利を返還しても使用料は基本的に返却されることはありません。
返還の有無については契約書に明文化されているため、契約前にしっかり確認しておきましょう。
使用権の譲渡
使用権を第三者に譲渡することは原則不可能です。寺院や霊園で契約する際、権利の及ぶ範囲が「本人及びその子孫」と定められており、さらには「第三者に譲渡や売買を禁止する」という条件付されていることがほとんどです。そのため、使用権を得たからといって、第三者に対して勝手に売却したり、貸し出したりすることはできません。
使用権の相続
お墓そのものなど含んだ「祭祀財産」は、家族・親族に相続(承継)されていくことが基本です。祭祀財産を相続した人物は「祭祀承継者」と呼ばれ、お墓の権利・管理を引き継ぎます。「祭祀財産」は分割可能な一般的な相続財産とは異なり、特定の1人が祭祀財産を相続することになります。
この祭祀財産は民法上では家族・親族以外の第三者に相続することが可能とされています。しかし、契約時の規程によっては相続の対象を家族・親族に限定している寺院や霊園は少なくありません。
なお、祭祀財産を相続する人物が決まったら忘れずに使用権の名義を変更しましょう。名義変更を行わずにいると管理費が未払いとなり、お墓が撤去・解体の対象になってしまう恐れがあります。
永代使用料の相場
永代使用料の相場価格は全国平均で約20万~200万円ほどです。ここからは相場価格が上下する要因について詳しくご紹介します。
立地条件
住宅やマンションといった一般的な不動産が立地条件によってその価格が上下するのと同様に、永代使用料も墓地の立地条件によって相場が変動します。「首都圏中心部に立地している」「首都圏からのアクセスが良い」などの好条件の墓地の場合、永代使用料が高くなる傾向にあります。相場価格が最も高いのは東京23区内です。
また、近年人気があるのが都心から離れていても電車やバスでアクセスしやすい都心周辺の寺院墓地や霊園です。都心から離れると比較的使用料を抑えることができます。
首都圏から離れれば離れるほど割安になるのは全国的に共通しています。使用料を安く抑えたい場合は、都心から少し離れたアクセスの良いエリアにある墓地も検討してみるとよいでしょう。
敷地面積
区画の敷地面積の広さも一般的な不動産と同様に相場価格を上下させる要因となります。一般的な敷地面積は約1~3平方メートル前後で、3平方メートル以上になると広々として立派なお墓が立てられる面積になります。
設備の充実度
広々とした駐車場や休憩所、さらには専用の送迎バスや法要会館など、設備が充実している墓地や霊園は使用料の相場価格が高くなる傾向です。
しかし、費用を抑えようと設備が不十分な施設を選んでしまうと、送迎バスがなくてお参りしづらい、車いす用の設備が整っておらずお参りが難しいといった課題に直面します。どのような設備が必要か検討したうえで墓地を選定しましょう。
永代使用料のほかに支払うお金
永代使用料を含めて寺院や霊園にお墓を建てるのに必要とされる費用の相場価格は150万から350万です。さらに、お墓を維持・管理するための「管理費」の支払いが毎年必要となるなど、お墓に必要なお金は永代使用料だけではありません。
ここからは、永代使用料のほかに支払うお金について詳しくご紹介します。
管理料
管理料は、墓地のある区画の敷地面積によって価格が異なり、墓地管理者に対して口座引き落としなど、毎年支払いをします。墓地によっては数年分をまとめて一括払いが可能な場合もあります。納めた管理料は参道の整備や水道設備の補修、墓地・霊園の清掃などの霊園の維持管理費用に充てられます。
管理料は支払いが滞るとお墓が撤去・解体されてしまう恐れがあるため、お墓の名義人が亡くなったら速やかに使用権を相続し、引き続き管理料を納められる体制を整えるようにしましょう。
永代使用料のように管理料も地域や立地条件によって費用相場が異なります。さらに、管理料は墓地の種類によって大きく上下する特徴があります。地方自治体が運営する「公営霊園」は年間約数千円~、公益法人や宗教法人などが運営する「民営霊園」は年間約5千円~1万5千円、寺院の境内に位置する「寺院墓地」は年間数千円~と、霊園の種類によって管理料の相場が大きく異なります。
永代供養料
お墓は、古来より家族・親族がお墓を相続して受け継いでいくのが供養の在るべき姿とされていました。しかし、核家族化や家制度の崩壊などが原因となり、お墓を相続することが困難になり墓じまいを選ぶケースも増えてきています。
永代供養料は、家族や親族に代わって寺院や霊園にご遺骨の供養と管理を行ってもらうための費用です。永代供養付きのお墓を購入したときに支払うほか、お墓の永代使用をやめて墓じまいをする際などに必要となります。
墓石建立費
墓石建立費は「墓石本体の費用」「区画に墓石を建てるために施工費用」の合計です。墓石建立費の大部分を占める墓石本体の費用は、石材の産出地をこだわったり、墓石以外の部材をつけたりすると価格がさらに上昇します。石材の種類は国産・外国産合わせると約150種類以上もあり、平均的には数十万円から購入できます。一方、国産の最高級の石材「庵治石(あじいし)」は非常に希少価値が高く、墓石の価格だけでも約500万円~となっています。
また、区画に墓石を建てるための施工費用は、墓地の立地条件に大きく左右されます。近くにトラックを停めてクレーンで墓石を吊り上げて設置できる墓地もあれば、山を登って設置しなければならない墓地もあり、石材店などが実際の墓地を確認して正確な費用を算出します。
開眼供養、納骨供養
開眼供養はお墓を新しく建てた際に行う法要で、墓石に故人の魂を宿すためご住職にお経を唱えていただくものです。地域によっては「お性根入れ」や「魂入れ」と呼ばれることもあります。開眼供養では読経して頂いた御礼としてお布施をお渡しするのが一般的です。厳密に金額が定められているわけではありませんが、一般的には約3万円~5万円が相場とされています。
納骨供養は火葬を終えたご遺骨をお墓に納める際に行われる供養のことで、ご遺骨をお墓に納める際に納骨式も同時に執り行う場合もご住職への御礼のお布施を準備しましょう。お墓を建てた際に開眼供養と併せて納骨式を執り行う場合は、開眼供養のお布施を1.5倍~2倍ほどの金額にしてお渡しするようにします。
お布施
お布施は、読経の儀式などを執り行って頂いた御礼としてお渡しするお金のことです。お布施はあくまでも読経をして頂いた感謝の気持ちを表したものなので、決まった金額は定められていないとされていますが、開眼供養のお布施の場合には約3万円~5万円といったように相場価格が存在しています。
お気持ちをお渡しするお布施ですが、相場価格よりも下のお金をお渡ししてしまうと、これからご供養でお世話になるご住職に対して大変な失礼にあたります。かといって多くお渡しすれば良いということでもありませんので、相場価格を参考にして適切な金額をお渡しするようにしましょう。
永代使用料がかからない埋葬
お墓を建てる際には、永代使用料や墓石代など、決して安いとは言えない金額が必要になります。また、近年はお墓にあまりお金を使いたくないというニーズが増えているのも事実です。
そこで、ここからはお墓の区画を使用する権利である永代使用料がかからない埋葬方法をご紹介します。
樹木葬
樹木葬は許可を得た区画に遺骨を埋葬し、墓石を建てる替わりに樹木を墓碑にして供養をするタイプの埋葬方法です。遺骨は生分解性の骨壷に納められていずれは自然に還ることになるため、自然派のライフスタイルを好まれる方などに選ばれています。
樹木葬は「里山型」と「都市型」に大別されます。里山型は、約1平方メートル~4平方メートルの区画に指定した樹木を植えて墓碑とします。広めの土地が必要なので首都圏郊外の里山周辺に立地しているケースが一般的です。
都市型は、首都圏近くの霊園などの一角にシンボルツリーを植え、その周辺に遺骨を埋葬します。シンボルツリーには、枝垂れ桜や日本庭園風なものからバラで彩られた洋風なものまで、多種多様な樹木があります。
散骨
散骨は故人ゆかりの場所に粉末状の遺骨を撒く葬儀の形です。散骨はほとんどの場合で海岸線が遠く離れた沖合で行う「海洋葬」で実施されます。散骨を禁止する法律は定められてはいませんが、山林などの他人の所有する土地にむやみに散骨を行うことは避けなければなりません。また、自治体によっては規定があるケースもあるため、散骨を行う前に必要な手続きの有無を確認しておきましょう。
遺骨を粉末状にしなければならないため、個人で散骨を行うのは難しいのが現実です。散骨を実施したい場合は、お近くの石材店や散骨を実施している業者などに相談をすることをおすすめします。
まとめ
お墓を使用するために必要な費用のうち、お墓を建てる区画の使用権を得るための費用が永代使用料です。首都圏に近いなど好立地の墓地は使用料が高額になるため、郊外型の霊園や樹木葬などを選択することもあるでしょう。この場合は、定期的に墓参りが行える距離かどうか、必要な設備が整っているかをポイントに選ぶようにしましょう。
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