御香典の相場
2018年1月10日
通夜、葬儀や法要などに出席する場合、香典を持っていきます。香典の歴史は古く、江戸時代まで遡ります。また、香典には「相互扶助」の意味合いもあり、そこには人と人を繋ぐ助け合いの精神が含まれています。最低限の知識やマナーを覚えておき、遺族や周囲への配慮にしましょう。
そもそも御香典って何?
諸説あり、ここでは2つ紹介します。
1つ目は線香やお花、御菓子の代わりにお供えするものという意味です。
2つ目は、お香の代金を指します。死者の冥福を祈るときにお香と線香は、絶やしてはいけないと言われています。香りは仏様やご先祖様の食事になる、煙はあの世への道標になるなどの意味があります。
線香は江戸時代に開発されたものですが元々は、焼香のときに使うお香を使っていました。しかし、焚いている間の時間が短く何度も焚かなければならず、そのお香を絶やさないようにするために近所や周囲の人たちがお香を持ち寄っていました。
それからお香を長く炊くためにお香が棒状に改良され線香ができると、お香は時代と共に使われなくなりました。近所や周囲の人たちは、お香ではなく金品や魚や野菜などの食品を持ち寄るようになります。このようなことから、香典は「お香の代金」と言われるようになります。
現代では、不幸事は急なもので何かと物入りでお金が必要になるからとも言われています。
相場
自分が故人とどのような関係なのか、どのくらいの付き合いがあるのかなどによって金額は変わります。親族以外の場合は、5000円を入れておけば間違いはないでしょう。
どうしてもわからないのであれば、一緒に参列する人にこっそり聞いてみたり、お寺に聞いてみたりするのもいいです。
熨斗袋の上書き
香典を入れる袋は、不祝儀袋、香典袋などとといいます。宗教によっても、また忌明前と忌明後でも上書きが変わってきます。
・仏教
忌明前・・・御霊前
忌明後・・・御仏前、御佛前、御菓子料、御供料、御供物料など
・キリスト教(カトリック)
御霊前、御神前、御玉串料、御花料、献花料、御ミサ料など
・キリスト教(プロテスタント)
御香典
・浄土真宗
御香典
( 紹介したものは一部です。 )
宗教問わず一般的に使えるのは、御神前です。
香典を持っていくときのマナー
香典を持っていくときのNG行動も覚えておきましょう。
・お金はピン札を使わない・・・予め準備していたと思われないようにするためです。
・忌明け前に黒色のペンは使わない・・・忌明前に香典を持っていくときは薄墨色のペン
を使います。悲しみの涙で黒が薄く滲んでいる、ことをあらわしています。
・香典袋は見た目で選ばない・・・中に入れる金額によって熨斗袋は変わります。少額
であれば水引が印刷されたもの、高額であれば水引が太いものなどです。わからない
ときは、仏具店や葬儀会社の人に聞いてみましょう。
葬儀や法要に呼ばれ、どうしても出席できないときは弔電を打ち、現金書留で香典を送るといいです。そこにお悔やみの言葉を一言添える優しさがあると嬉しいですね。
まとめ
人は必ず亡くなりますが、誰かが亡くなることを想定して生きている人は誰もいません。それほどまでに人は、不幸事を避けて通りたいのでしょう。人が亡くなることの悲しみはとても深く、癒えるには相当の時間がかかります。また愛する人や家族が亡くなった場合は、その悲しみが果てることはありません。
そういった心情は外からは決して見えるものではなく、心の悲しみは心でしか慰められないのです。それが江戸時代から受け継がれている、相互扶助の精神なのでしょう。
お互いに助け合う気持ちの中には、故人を偲ぶ想いが深く刻まれているのです。香典を通じて、その想いが故人や遺族に届くようにマナーをきちんとまもりましょう。