お墓の建立時に行う開眼供養とは?マナーや法要の流れも解説
2021年1月28日
お墓はさまざまな理由で引越し、つまり改葬されることがあります。それに際して行われるのが「開眼供養」という法要です。お墓の改葬を考えている方は、開眼供養について知っておく必要があります。
この記事では、開眼供養とはどのような儀式なのか、そして開眼供養の流れ、開眼供養のマナーについて説明していきます。
開眼供養とは
開眼供養とは、お墓だけにかかわらず、仏像、仏壇、位牌などの完成に際して行われる法要のことを指します。「入魂式」「魂入れ」とも呼ばれ、僧侶の読経などの儀式を経て仏様の魂が宿ると考えられています。
たとえどんなに造詣が素晴らしくても、開眼供養がされていなければ、ただの「物」です。言い換えるなら、宗教的な意味合いを持つお墓や位牌、仏壇などは、開眼供養を経なければ完成しません。開眼供養はまさに、画竜点睛の部分であるといえます。
開眼供養を行うタイミング
開眼供養はどのような時に行うのでしょうか。また、どのような時、行わなくてよいのでしょうか。改葬する際に行わなければならない「閉眼供養」についても併せて説明していきます。
お墓、位牌、仏壇を新しくしたとき
開眼供養は、お墓や位牌、仏壇を新しくしたときに行われます。特に、お墓なら新しく建てた時、立て直した時に開眼供養を行います。これは、お墓のお引越しである改葬時も同様です。
開眼供養は同じものに二度行うことはありません。例えば、先祖代々のお墓を受け継ぐ場合、すでに開眼供養は済ませてあるはずですから、立て直さない限りは開眼供養を行う必要はないということです。納骨のたびに行う納骨供養と混同しないよう注意しましょう。
建碑式のみのこともある
生前墓の場合、開眼供養は建立時でなくても構いません。建立時に開眼供養をしなかった場合、建碑式のみを行い、遺骨を納める際に改めて開眼供養をすることになります。
ただし、宗教的な観点からすると、お墓を造ったときに開眼供養を済ませてしまった方が望ましいです。生前にお墓を建てることは「寿陵」といい、長寿や子孫繁栄を招く縁起のいいものとされています。しかし、開眼供養をしない場合、縁起を担ぐことができません。宗教的な理由で生前墓を望むのであれば、開眼供養は必須であることを覚えておきましょう。
一方、寿陵などのご利益をとくに気にしないのであれば、無理に開眼供養をする必要はありません。実際のところ、開眼供養は納骨式と同時に行った方が効率良く、費用も安く済みます。地域の慣習にもよりますが、現代では生前墓を造っても開眼供養しない方も多いようです。
改葬のときは閉眼供養も行う
改葬とはお墓のお引越しです。つまり、改葬すると引っ越し元のお墓は空になるということです。空になったお墓は、閉眼供養と呼ばれる「お魂抜き」「お性根抜き」の儀式をする必要があります。
閉眼供養は、開眼供養を行ったお墓や仏壇などを処分する際に必要な儀式です。開眼供養を経たお墓や仏壇には、仏さまの魂が宿っていると考えられています。そのため、魂が宿った状態で捨てたり処分することはおろか、動かしたりすることすらタブーとされています。お墓や仏壇を処分する際は、まず物に宿った仏さまの魂を抜き取り、供養しなくてはなりません。
また、お墓の撤去に携わる業者も閉眼供養なしでは作業に応じてくれない場合がほとんどです。トラブルを避けるためにも、必ず閉眼供養を行っておくことをおすすめします。
開眼供養の儀式の流れ
新しいお墓を建てたら必ず行われる開眼供養ですが、どのような流れで行われるのでしょうか。開眼供養と納骨式を同時に行う場合を例に、大まかな流れを解説していきます。
祭壇、お供え物の準備
あらかじめ、お墓の周辺を清掃して清めおいて、それから祭壇を整えます。準備はほとんどの場合は、石材店が手伝ってくれるようです。地域によっては、両隣、もしくは向こう三軒両隣のお墓もお供え物をします。不安な方は、地域のルールに詳しい墓地の管理者や、石材店と相談しながら進めていきましょう。
準備が整ったら三宝とよばれる台を置き、その上にお供え物を並べます。お供え物は、故人が生前好きだったものを選ぶのが一般的です。お菓子、お酒、タバコなどの嗜好品が代表例です。また、嗜好品と一緒に季節の野菜や果物などをお供えするのが通例となっています。
除幕
続いて、お墓に巻かれている白いさらしを取り外していきます。これを「除幕」といいます。この白いさらしは開眼供養前のお墓を邪気から守る意味合いで巻かれているものです。邪気を払うとされ、お墓や仏壇を掃除するのに使う布や、妊婦さんの腹帯などに用いると良いとされています。縁起物なのでぜひ、捨てずに再利用しましょう。
読経と焼香
除幕が終わると僧侶による読経が始まります。読経の間は、目を瞑り、合掌して、故人の冥福を祈ってください。その後、お焼香のためにお墓に並びます。お焼香のタイミングは僧侶から合図があるので、指示通りに動きましょう。
納骨を行う
実は、納骨と開眼供養はどちらが先か明確に決まっているわけではありません。お寺によっては読経前に納骨を済ませる場合もあれば、開眼供養後に納骨を行う場合もあります。いずれにせよ、お寺や親族と事前に相談しておきましょう。
お布施をわたす
これで開眼供養の儀式は終了です。儀式を経て、仏様の魂が宿り本当の意味での「お墓」になりました。法要が終わったので、僧侶にお布施をお渡します。お布施を渡すタイミングは特に決められていませんが、僧侶がお帰りになる際に行うのが慣例のようです。
一口にお布施と言ってもさまざまです。お経を読んでもらったことに対する「お布施」や交通費である「お車代」、式後にする参列者との会食である、お斎に不参加だった場合に支払う「御膳料」など複数あります。混同しないよう注意しましょう。
開眼供養と納骨式を同時に行った場合、お布施の大まかな内訳は以下の通りです。
・お布施の金額
開眼供養(納骨式含む) 約3万~10万円
お車代 約5千~1万円
御膳料 約5千~1万円
ちなみに、開眼供養のみ、もしくは納骨式のみを執り行った場合、約3万~5万円が相場となっています。とはいえ、あくまで全国的に見た平均的な相場ですので、地域やお寺の規模によって金額は異なる場合があります。地元の専門業者や親戚の方に確認をとっておくことをおすすめします。
・渡し方のマナー
お布施をお渡しするのにもマナーがあります。
まず、各お布施を1つの封筒にまとめて渡すのはNGです。名目ごと「お布施」「お車代」「御膳料」と封筒を分けてお渡しします。開眼供養と納骨式を同時に行ったなら、水引のついてない白無地の封筒を選んでください。
一方、開眼供養のみの場合、紅白水引で、かつ熨斗のついてない封筒を選びます。ただし、浄土真宗では納骨式と同時に行ったときと同様、白無地の封筒なので注意しましょう。
お布施の表書きは、開眼供養と納骨式を同時に行った場合は、シンプルに「御布施」で構いません。開眼供養のみの場合も、御布施でも良いのですが、こちらはさまざまなバリエーションがあります。例は以下の通りです。開眼供養のみの表書きは「御礼」とつくのが特徴です。
・開眼御礼
・開眼供養御礼
・御入魂御礼
・石塔建立御礼
一方、宗派が浄土真宗になると、お墓に「魂を宿す」という開眼の概念がないので、上記とは違う表書きになります。浄土真宗では、お墓に仏さまの魂を入れるのではなく「仏さまをお迎えする」という宗教観があるため、開眼供養ではなく「入仏式」になります。宗派が浄土真宗だった場合、表書きは次のように書きます。
・入佛慶讃御礼
・入仏法要御布施
また、同じ浄土真宗でも大谷派では「御移徙御礼」と書きます。このように、開眼供養のみの場合、宗派によって表書きもさまざまです。混乱を避けるためにも、難しく書いてあっても内容は同じ「経を読んでもらったことへの御布施」だということを頭の片隅に入れておきましょう。
お布施をお渡しする際は、お礼を述べ、お布施を切手盆に乗せ、封筒の文字が相手の正面になるよう向けて差し出します。直接手渡ししたり、床に置いたりするのは失礼にあたるので注意してください。
開眼供養によばれたときのマナー
開眼供養はお墓ごとに一度しかない法要です。そのため、開眼供養は自身が開催するより、親戚縁者に招かれる機会の方が多いといえるでしょう。ここでは、開眼供養に招かれたときのマナーについて説明していきます。
お祝いを渡す
お墓における開眼供養には主に2つのケースがあります。開眼供養のみ行う場合と、納骨式と同時に行う場合です。どちらも開眼供養のお祝いとして一定の金額を包むのが慣習ですが、渡す意味合いはそれぞれ異なります。まずは開眼供養のみ行うケースについて説明します。
開眼供養だけなら、仏様の魂を宿してお墓を完成させる、おめでたい慶事です。主催者にかける挨拶は「おめでとうございます」をはじめとしたお祝いの言葉となります。よって、お金を包む封筒も、慶事にふさわしい祝儀袋を用います。開眼供養のみの場合で用いる包み袋と、その金額は次の通りです。
・包み袋
開眼供養のみなので、紅白の水引で熨斗のない祝儀袋を選んでください。開眼供養はおめでたい慶事ですが、仏教の儀式です。熨斗の由来はアワビを乾燥させたもので長寿をもたらすとされる縁起物ですが、仏教は生臭物を避けるため、仏教のお祝いに使うのは不適切とされています。よって、熨斗の付いた祝儀袋は避けましょう。
・金額
包む金額は友人知人なら3000円~5000円、会食が用意されているなら1万円程度が相場です。一方、親戚や親族の場合、会食の有無にかかわらず1万円程度が一般的とされています。
服装の注意点
開眼供養のみの場合、男性は黒のスーツに慶事に用いる白ネクタイ、女性は黒のスーツや、柄のない地味な着物などの略礼服を着るのが一般的です。必ずしも礼服を着る必要はなく、黒や灰色を基調とした地味な服装なら問題ありません。ただし、貴金属のアクセサリーなどは控えましょう。
納骨と同時に行う際の注意点
これまで開眼供養のみ行う場合を説明してきましたが、納骨式を同時に行う場合、開眼供養は「弔事」の意味合いが強くなります。開眼供養が慶事であることには変わりはないのですが、故人を悼む弔事が優先されるということです。そのため、納骨と同時に行う場合、包み袋や服装は、開眼供養のみの場合とは異なってきます。
・納骨と同時にするときは弔事なので注意
開眼供養と納骨式を同時に行った場合、弔事であることが優先されます。したがって、包むのはお祝いではなく香典です。それに伴い、用いる包み袋は「不祝儀袋」になります。ただし、包む金額は、開眼供養だけの場合と同額で構いません。
服装は葬式同様、喪服を身に着けます。男女ともにブラックスーツを基本に、目立たないことを意識して、おしゃれは控えます。
それを踏まえた上で、喪服を着る際に気を付けたいのは以下の点です。
・殺生を連想させる毛皮や、ワニ革など爬虫類系の革製品は身に着けない
・アクセサリーだけではなく、留め具や装飾を含め、金・銀といった「光り物」を避ける。
・「光り物」の例外として結婚指輪があげられるが、金やダイヤは避ける。
開眼供養は納骨式と同時に行うことで、慶事から弔事になります。開眼供養のみで行う時よりもマナーに気を配りましょう。
まとめ
近年、少子高齢化や、お墓への価値観の変化から、改葬やお墓じまいをする方が増加する傾向にあります。そのため、開眼供養や閉眼供養に接する機会は増えていると言えます。
もし、ご自身が生前にお墓を建立したり、開眼供養を経験したりすることがある場合には、この記事の内容を参考にし、滞りなく法要を済ませましょう。
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