海外のお墓事情
2018年2月10日
世界にはたくさんの国があり、その数よりも多くの文化や風習があります。国民性、人種、宗教、世界観、死生観の違いなどの事情によりお墓の在り方も変わってきます。
日本のお墓事情と比較してみましょう。
海外の霊園
西洋に限らず、アメリカ、中国にも共通していることは、霊園には緑が多く明るいイメージであるということです。公園墓地と言われるほどに草花や色彩豊かな花が咲いています。
ガーデニングが盛んなイギリスでは、薔薇などの草花を多く植えて美しい景観を保っています。墓地が観光名所になっているところもあります。
日本の霊園のように墓が密集して建っていることはなく、墓に対して広めの土地が与えられています。
墓石
キリスト教を信仰している国では、主に十字架、平板状が多いようです。色は白色のものが多く、日本のように黒や灰色など暗い色のものは少ないです。
墓石には故人の名前、没年月日、年齢のほか、生前どんな人物だったのか、どんな成果を残したかなとが彫られることもあります。短文であれば、故人への想いを一言彫ります。
フランスでは十字架のほか、小さな家の形をしたもの、またはオブジェのような墓石を建てています。死者が住む場所との考えがあるようです。
また中国には、亀の背中の甲羅をイメージした形があり、顔写真を印刷していたりするものもあります。魔除けとしてシーサーを置くのも特徴です。
風習
アメリカは、葬儀の儀式は墓地で行うことが当たり前で日本のように会館や自宅で行うことはほとんどありません。
また、「ビューイング」という、日本の通夜にあたるものがあります。ビューイングとは、故人のもとを訪れた人が故人と対面して地上でのお別れを過ごすものです。服装も自由で、お別れのカードや花を持っていきます。
イギリスでは、火葬が主に行われており火葬場は共同墓地と併設されています。火葬したあとは、数日経ってから遺族が遺骨を取りに行きます。そのあとは埋葬をするのですが、散骨をする人も増えており河川、山、海など、故人の思い出深い場所を選ぶ傾向が強いです。
中国には年に一度、「清明節」というお墓参りの日が定めれています。どんな人もお墓を掃除して、祈りを捧げるのです。必ず三連休になるようで、国民が一致しての死者を偲び感謝することは、日本人も見習わなければならないでしょう。
日本との違い
日本の墓は、和型墓石が主流で同じ墓に何人も埋葬します。雰囲気も暗く、少しこわいイメージもあります。お供えする花も洋花はあまり使われず和花が中心です。
火葬してから納骨するまで儀式に含まれ、最後まで粛々と行われます。マナーや約束ごとも多く、故人を偲ぶ想いが強く表れているのが特徴です。仏教の歴史や古くから伝わる伝統を重視しています。
しかし、他の国を見てみると、ほとんどが明るくてこわいイメージはありません。
緑豊かな公園にたくさんの花に囲まれて墓地があります。故人を偲ぶというよりは、故人が生前に受けた神の恵みに感謝する場所と捉えていると言えます。
また、同じ墓に何人も入るということもなく、お墓1つに1人が入ることが多いです。
日本のような通夜はなく、葬儀だけがほとんどです。火葬をする国は多いですが、散骨に関しても規制が緩く、散骨する場所の許可が取れれば可能なことが多いです。国民性や文化が反映されているといえるのではないでしょうか。
戒名や法名などというものもなく、死後も生前の名前のままがほとんどです。また、四十九日などの法要もありません。
まとめ
死者に対する儀式はとてもシビアなもので、その国の文化や風習が色濃く反映されています。アメリカなど西洋では明るいイメージであり、中国では年に一度、必ずお墓参りをするという日が決まっているなど様々な考え方があります。
日本にももちろん文化や風習からのマナーがあります。マナーをまもり、きちんと故人を見送りましょう。