お墓は誰が守るの?管理するの?長男?長女?
2018年2月15日
その家の主が亡くなると、財産の相続やお墓の相続問題が発生します。墓地、墓石、仏壇など、ご先祖様を祀るための財産を祭祀財産と呼び、相続財産とは区別されます。
相続人になったからといって、必ずしも祭祀財産も相続する必要はありません。祭祀財産は独立したものであり、それは法律でも定められ祭祀相続人としてふさわしい人が望ましいとも記されています。
誰が守るの?
墓を守る人を継承者といいます。日本の長年の慣習から長男や配偶者が一般的とされていますが、長男が継承者にならない場合は以下の流れで継承者が決まることもあります。
長男が継承者にならない場合
①長男以外の子供や、結婚して改姓した子供など
②兄弟、姉妹、甥、姪など
③血縁者以外の人物など
別の方法で継承者を決める場合
・故人が指定した人物(口頭でも遺言を残しても有効)
・継承者が決まらない場合は調停裁判など、法の力を借りる
墓地や霊園の規則で継承者は血縁者のみと定められているところもあり、もし血縁者以外の人物が継承する場合は墓地や霊園の管理者と話し合いをしておく必要があります。
または、継承者が望まない場合は、その権利を放棄することもできます。
墓石
キリスト教を信仰している国では、主に十字架、平板状が多いようです。色は白色のものが多く、日本のように黒や灰色など暗い色のものは少ないです。
墓石には故人の名前、没年月日、年齢のほか、生前どんな人物だったのか、どんな成果を残したかなとが彫られることもあります。短文であれば、故人への想いを一言彫ります。
フランスでは十字架のほか、小さな家の形をしたもの、またはオブジェのような墓石を建てています。死者が住む場所との考えがあるようです。
また中国には、亀の背中の甲羅をイメージした形があり、顔写真を印刷していたりするものもあります。魔除けとしてシーサーを置くのも特徴です。
年間の管理費
継承者になると檀家としての勤めも果たさなければなりません。お墓を維持管理していかなければなりません。その管理費は、定められた運営機関に支払う必要があります。
管理費の目安
・公営霊園・・・1000~10000円/年
水道使用料金や、墓地の整備などに使われます。
・民営霊園・・・5000~15000円/年
水道使用料金、トイレ掃除、休憩所、送迎バスの運営費など。設備によって目的や金
額が変わります。
・寺院墓地・・・20000円~/年
管理費だけではなく、お彼岸やお盆などのお寺の行事毎にお布施を払わなければなり
ません。またお寺によっては、修繕費なども払います。
現代の実状
本来であれば継承者がスムーズに決まれば問題はないのですが、最近ではそれが難しくなっています。その背景として以下のことがあげられます。
・日本文化の変容、墓参りなどの慣習の薄れ
・伝統行事離れ
・経済的に余裕がない世帯の増加
・核家族化の増加
・少子高齢化
・高齢者の独り暮らし
などです。
このような状況は減るどころか増える一方で、お墓の管理どころか遠方で行けない、体の具合が悪いなどの理由からお墓参りすら満足に行けない人がいることも事実です。
永代供養
納骨堂のほとんどは室内にあり、利便性が良いのも特徴です。
永代供養には、2つの種類があります。はじめから大きな墓に合祀するものと、一定期間は個別のお墓で供養されそのあと大きな墓に合祀するものがあります。
前者の場合は、永代供養料として一度支払えばあとは払う必要がありません。後者の場合は一定期間の管理費と永代供養料が必要がですが、どちらも支払いは一度のみで済みます。
手元供養、散骨、墓じまい
継承者も現れず、永代供養もしない場合の選択肢は他にもあります。
・手元供養
遺骨をお墓に入れず、手元に置いておくものです。
・散骨
遺骨を海や山などに撒きます。
・墓じまい
はじめの手続きは少し面倒ですが、必ずお寺に相談して行います。
まとめ
長い間、ご先祖様が守り受け継いできたお墓を継承するのも、手放すのもとても大変なことがわかりました。お墓を守る継承者は、風習などから長男か配偶者となっていますが、必ずしもそうでなくてはならないわけではなありません。
継承者がない場合もあり、その場合には永代供養といってお寺に管理してもらう方法もあります。昨今では、子供に負担をかけたくないという高齢者も増えていることから人気になっています。どちらにしても、次世代に向けて責任のある方法を選びたいものです。