墓石に刻む文字にルールはある?文字を入れる流れや注意点も解説

2021年2月27日

墓石に刻まれた文字のうち、「〇〇家」という家名はよく見かけますが、最近ではそれだけでなく「心」と一文字で書かれているものや、「会いに来てくれてありがとう」という1つの句の形式も見かけるようになりました。新たにお墓を立てる際、墓石にはどのような言葉や文字を刻むのが適切なのでしょうか。
この記事では、墓石にどのような文字を刻むと良いのか解説すると共に、文字を入れる方法や、文字を入れる際の注意点についてご紹介します。




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墓石にはどんな文字を刻むべき?


結論から言えば、墓石に刻む文字は、彫る位置や文字(フォント)、内容は自由です。これといった決まりはありません。しかし、そうはいってもどんな文字を入れたら良いか悩む方も多いでしょう。そこで、ここからは刻む文字の種類についてご紹介します。

和型のお墓の場合

和型のお墓の場合、一般的に墓石に刻む文字はある程度決まっています。竿石のそれぞれの面に入る文字の標準的な傾向についてご紹介します。

・竿石の前面
竿石の前面には「家名」「題目」などが入ります。
まず「家名」についてですが、家族や子世代が入る場合に多く使われるのが、「〇〇家」「〇〇家之墓」「〇〇家先祖代々之墓」という表記です。一般的に家名を入れたお墓は、その家族の末裔までの墓という意味になりますので、無難な選択であるといえるでしょう。

「題目」は宗派によって文字が異なります。仏教では「南無妙法蓮華経」や「南無阿弥陀仏」などが使われ、キリスト教では十字架などがモチーフに、神道では「○○家奥津城」などが使われるのが一般的です。

・竿石の右側面
竿石の側面には、「戒名」と「没年月日」などが記載されるのが基本です。「戒名」とは、仏弟子となった証として故人に送られる名前の総称で、故人の仏教名を表します。「没年月日」は、その人が亡くなられた日を示します。
お墓で困るのは埋葬される故人の数が増え、竿石の側面には収まらなくなるケースです。その場合、別に墓誌を建てることで、戒名などを記載するスペースを確保することができます。墓誌には亡くなった順、ないしは相続順位にしたがって書き並べていくのが一般的です。

・竿石の裏面
一般的には、竿石の裏面に「建立年月日」と「建立者名」を彫ります。「建立年月日」とは、そのお墓を建てた日を示し、「建立者名」は、そのお墓を建てた代表者の名前を示すものです。

洋型のお墓、デザイン墓の場合

洋型のお墓やデザイン墓の場合、「漢字一文字」「熟語」「メッセージ性のある言葉」などが彫られます。

・漢字一文字
「夢」「想」「心」「偲」「愛」「和」「絆」「空」「縁」などが代表的です。
漢字一文字なため、墓石に大きく文字を彫ることができます。迫力があり、故人の意向をよく表すことができるでしょう。

・熟語
「一期一会」「倶會一處」「諸法無我」「花鳥風月」「風定花猶」などの四字熟語が彫られるケースもあります。この際、仏教用語が用いられることが多いようです。

・メッセージ性のある言葉
洋型のお墓に彫る文字は、文章を刻むこともできます。
「よき友に囲まれてたくさんの思い出とときめきをありがとう」「会いに来てくれてありがとう。あなたのしあわせを祈っています」など、メッセージ性のある言葉は、故人の立場からのものと、家族の立場からのものの両方があります。
故人の思いを尊重するのであれば、好きだった言葉を刻んであげると良いでしょう。ただし、長文になればなるほど、一つ一つの文字の大きさは小さくなりますので注意が必要です。

また、文字だけでは寂しいなと感じる方は、桜や蓮の花などのイラストを入れるのも1つの方法です。最近は彫るデザインをデータで渡すことができるようになってきたので、好きなフォントや好きなイラストを頼んでみるのも良いでしょう。



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墓石に文字をいれる方法


墓石に文字を入れる方法は、コンプレッサーを用いてサンドブラスト技法を使い、砂の圧力で文字を彫る方法が主流です。ここでは、墓石に文字を入れる流れを紹介すると共に、現場彫刻や工場彫刻といった彫刻の仕方についても解説していきます。

墓石に文字をいれる流れ

まず、墓地や霊園からの指定石材店があるかどうかを確認しましょう。指定の石材店がある場合は、彫刻してくれる業者を紹介してもらえますし、霊園によっては工事届などを申請しなくてはいけない場合もあります。

石材店が決まったら工事の依頼を行います。依頼する際には墓地の場所や彫刻して欲しい文字の内容などを業者に伝えましょう。

続いて、文字の確認です。すでにお墓がある場合は、ご先祖様の彫刻文字に合わせて原稿を作成し、文字の書体や大きさ、配置などを確認します。文字の確認が取れたら、原稿に起こしていきます。原稿が出来上がったら、文字の内容に間違いがないか、一字一句よく確認しましょう。

準備が整ったら、施工を行います。最近ではコンプレッサーなどの機械が持ち運びできるようになったため、現場で彫刻するケースもありますが、基本はお墓を石材店に持ってきて彫刻を行う工場彫刻がメインです。

彫刻工事が終わったら石材店立ち会いのもと、工事の完了確認を行います。彫刻した文字に間違いはないか、不備はないかを確認してもらって、支払いを行います。

最後に、魂入れと納骨式を行います。

新規に墓石を建之したときには、魂入れを納骨式と合わせて、住職にお願いをします。

現場彫刻

現場彫刻とは、その場にあるお墓に追加で文字を彫る作業のことを指します。古いお墓などに追加で文字を彫りたいときは現場彫刻を行うケースが多いです。
彫り入れる文字の下地となるゴム板を墓石の彫り入れ箇所に貼り付け、コンプレッサーやサンドブラストを行う機材を運び込み、ゴム板の上からサンドブラスト(砂を吹きかける)技術により、彫刻を行います。ゴム板を剥がして文字の確認を行い、作業終了となります。

工場彫刻

工場彫刻とは石材店の工場で彫刻をしてもらうやり方のことです。作業内容は、現場彫刻とほぼ同じですが、専用の機械を使うことができます。
文字のゴムを墓石に貼り、剥がれないようにテープで周りを養生します。彫り込む文字部分のゴムを切り取り、専用の機械に入れて砂の圧力で墓石を彫っていくという流れです。



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文字を入れるときの注意点


お墓の表面に彫る文字には法に反してしまうものや、永代まで続くと考えると避けた方が良い言葉などがあります。これら文字を入れるときに注意したい言葉についてご紹介します。

著作権に注意

著作権が絡む言葉、つまりヒット曲の歌詞の引用などは著作権に引っかかり、法的な問題が生じる可能性があるため注意が必要です。

タブーな言葉

タブーな言葉に「うたかた」や「浮いたか瓢箪」などがあります。これらは、物語の中から引用すると深みがありますが、意味合いだけを考えると避けた方が良いでしょう。
「うたかた(泡沫)」は泡のように儚いものという意味で、永代続くお墓には向いておらず、「浮いたか瓢箪」は中身のない瓢箪、つまり中身が空っぽであるという意味に捉えられてしまうからです。

宗派や墓苑の規定

宗派や墓苑の規定があることも忘れないでおきましょう。
まず、宗派によって一定の規定があります。例えば、浄土真宗では「南無阿弥陀仏」「倶会一処」という言葉を彫ることが多く、天台宗では「南無阿弥陀佛」や「梵字」と言われるインドの文字の総称が使われ、真言宗は「南無大師遍照金剛」、臨済宗・曹洞宗は「南無釈迦牟尼佛」、日蓮宗は「南妙法蓮華経」が使われるパターンが多いです。

また、墓苑によって規定がある場合もあります。公営霊園の場合は、墓石文字は基本的に自由に彫ることができ、どのようなデザインのお墓を建てても問題がない場合がほとんどです。また、どの石材店に頼むのかについての指定もありません。

一方、民営霊園では、石材の大きさや高さ、彫刻をする内容などといった、墓石を建てる際に規制や条件がある程度決まっている場合が多くあります。基本的には指定の石材店があり、自由に選べない場合がほとんどです。

寺院墓地の場合は、寺院の住職の意向によって対応が変わってきます。石材店はその寺院に出入りをしている業者が指定される場合が多いため、寺院墓地の場合は一度お寺の住職に相談してみると良いでしょう。また、お通夜や葬儀、回忌法要、お墓参りのお供えなどは寺院の宗派に沿って行われることになります。

家紋の名称に注意

家紋は冠婚葬祭を始め、格式を重んじる場面ではなくてはならないものとして、長い歴史があるものです。本来家紋は長男が代々受け継ぐものですが、次男に分家する場合などに本家の定紋をアレンジして使っていたため、現在では5,000以上もの家紋が存在すると言われています。

お墓に家紋を彫りたい場合、自家の家紋の正しい名称を知ることが第一歩となるでしょう。家紋は似ているものが多数存在するので、できるだけ名称で判断しましょう。例えば、「鷹の羽」に似ている家紋に「丸に違い鷹の羽」「中軸に足付き違い鷹の羽」「丸に細違い鷹の羽」「丸に右重ね違い鷹の羽」などががあり、どれも鷹の羽が重なっている家紋を表しますが、細かな部分が異なっています。したがって、「名称」で依頼、判断することをおすすめします。



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一度入れた文字を消す方法

一度入れた文字を消す方法には、「消したい文字の部分を削る」「墓石ごと交換する」「パテで埋める」の三つがありますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。この3つの方法について一つ一つ解説していきます。

まず、「消したい文字の部分を削る」とは、お墓を一度持ち帰り、彫っている部分を削り、再度彫るという手法です。この手法を用いて、お墓の側面から文字を削り平らにしてから、新たに文字を彫るため前の形と比較して、縦横の比率が変わってしまうのが難点です。ですが、墓石ごと交換するより格安で作業を行うことができます。

墓石ごと交換する場合、コストがかかってしまうほかに石目が合わなかったり、仏石を交換するため閉眼法要が必要になったりすることも念頭に置いておきましょう。最初の墓石はセットとして1つの石から作られている場合が多いため、竿石のみを交換した場合、石目が合わなくなることがあります。
さらに、墓石を取り替える場合は「仏石」である竿石を交換することになりますので、閉眼法要を行う必要があり、そのために住職にお布施を支払う必要も出てきます。これらも含めて予算を立てておくと良いでしょう。

応急処置として、「パテで埋める」という方法もあります。彫った部分にパテで埋める、簡易的なこの方法は、簡単でコストがあまりかからないのが利点ですが、時間経過にともない、パテで埋めた部分がかえって目立ってしまう傾向があります。

これらの方法から現状に合った方法を選んで対応していくとよいでしょう。



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まとめ


墓石に刻む文字には、特にこれといった決まりはなく、自由に刻んで良いというのが一般的です。ただし、和型のお墓や洋型・デザイン性のあるお墓によって、刻む内容にある一定の傾向があるのも事実です。

また、文字を入れるときは、著作権やタブーな言葉を使用しないように気を付け、宗派や墓苑の規定などもよくチェックしておきましょう。さらに、家紋を入れる場合は、自家の家紋の正しい名称で判断することをおすすめします。このように、墓石に刻む文字は、自由とはいえ気をつけることは沢山ありますので、慎重に作業を行っていくと良いでしょう。

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