お墓への納骨は自分で行うもの?納骨方法や費用などを解説
2020年12月6日
お葬式が済んだ後、通常四十九日に行われるのが納骨です。故人の遺骨をお墓に納める儀式ですが、石材店に依頼する代わりに自分たちで行いたいと思う人もいるでしょう。納骨は自分たちで行えるものなのか、自分でお墓に納骨する場合の方法などを解説します。
お墓への納骨は自分で行えるものなの?
納骨と聞くと、お寺や石材店に頼むというイメージではないでしょうか。納骨には、遺骨をお墓に納めるだけなく、故人の亡くなった日付や名前などを墓石の隣にある墓誌に刻む作業や、納骨式の執行などが付随する場合があります。また、お墓の下の納骨室を開けるのには想像以上に重労働です。
ただ、納骨は条件が合えばお寺や石材店に依頼せずに自分で行えます。
自分で納骨するという選択肢がある
すでにお墓を持つ人の中には、自分たちで納骨を済ませるという人もいるようです。その理由には、お墓の大きさが以前よりも小さくなり、納骨室を比較的簡単に開け閉めできるようになったことが挙げられます。
また、親戚や故人とつながりがある人がお墓から遠い場所に住んでいる場合、納骨式に参列してもらうのにも負担がかかります。各方面に負担がかかるのを避けるために、自分たちで納骨したいと思う人もいるかもしれません。
自分たちで納骨する際に知っておくべきこと
自分たちで納骨したいならば、知っておくべき点がいくつかあります。まずはカロートとも呼ばれる納骨室の存在です。納骨室は日本の埋葬方式が土葬から火葬に変わったタイミングで作られるようになりました。現在のお墓はいくつかの骨壺を一緒に納めるのが主流のため、納骨室があると埋葬しやすいと言われています。
次に知っておくべきことは、納骨室の種類や構造です。納骨室には地下型や地上型、半地下型などがあることを事前にわかっておきましょう。
最後に、自分たちで納骨する場合は関係する人に連絡をする、ということを忘れないことです。特に近親者には理由を添えたうえで説明し了解を得るようにすると後々のトラブルになるのを避けられるでしょう。
自分で納骨できないケースもある
納骨をしたくてもできないケースがあります。ひとつは、新しくお墓を建てる場合です。お墓を建てると、そのお墓に魂を入れるための開眼供養をしてもらいます。また、お墓を建てるには石材店に依頼するのが通常の流れです。
民間霊園や石材店によってはお墓の制作から納骨作業までが費用に入っていることが多いようなので、その場合は無理に自分たちで納骨しようとせず、まずは石材店にお任せするのがよいでしょう。
納骨が難しいもうひとつのケースとしては、お寺の中にお墓がある場合です。後述しますが、自分たちで納骨するときには埋葬許可証を提出します。お寺は、納骨法要をしてもらい僧侶が納骨に立ち会うのが一般的です。
お寺との関係を良好に保つためにも、自分たちでの納骨は避けるか、お寺とよく相談してみましょう。
お墓への納骨する以外の方法とは
これまで、自分で納骨することについて紹介してきましたが、納骨はしなくてはならないという決まりはないようです。人々のライフスタイルが変化しているように、お墓の考え方も変わってきています。では、お墓に納骨をする以外に遺骨を納める方法はあるのでしょうか。
お墓を持たないという人は、納骨堂という納骨スペースに遺骨を安置する選択があります。都市部に増えてきている納骨堂はあらかじめ利用期間が決められているお墓というイメージです。
他には、自宅に遺骨を置いておいたり加工してアクセサリーにしたりする手元供養や海や山などの自然に遺骨を撒く散骨、遺骨の周りに樹木を植える樹木葬などを納骨の代わりの供養としているようです。
自分でお墓に納骨する方法
納骨する際に知っておくべきことや、納骨できないケースを理解したうえで自分での納骨が可能となった場合、これから説明する方法や流れを確認しながら納骨を進めていきます。中には法律で定められていることがあったり、納骨室の構造や種類によっても方法が異なったりもするので、注意しながら進めていきましょう。
埋葬許可証を準備する
自分たちで納骨するならば、その際はまず埋葬許可証を準備します。埋葬許可証は死亡届と死亡診断書を提出することで発行してもらえる書類です。自治体によっては「死体埋火葬許可証」とも言われているようです。日本の法律では、亡くなった日から7日以内にかかりつけ医に死亡診断書を作成してもらい役所の窓口へ死亡届を提出するよう決められています。
役所へは死亡届と死亡診断書と共に「死体火葬・埋葬許可交付申請書」を合わせて提出しましょう。すべての書類が受理されると、火葬許可証を発行してもらえ、火葬後に火葬許可証へ火葬済み(埋葬許可)の印が押されます。この埋葬許可証を霊園やお寺の墓地管理者に提出しましょう。
事前許可を取る
納骨は自分たちで行ってはいけないという決まりはありませんが、事前連絡をせずに埋葬許可書を持ち込んで納骨をする旨を伝えるのはマナーとして避けましょう。特に民間霊園やお寺の墓地によっては自分での納骨自体を受け入れていないかもしれません。
自分たちで納骨すると決めた時点で、その旨と希望納骨日を伝えて承諾をもらうようにします。
公営霊園でも事前の連絡と許可を取ることは忘れないようにしましょう。
納骨時期と当日の服装
納骨時期は一般的には四十九日やお盆、百か日など節目の法要日に合わせているようです。ただ、時期に決まりはないため、遺族や参列者の都合を聞きながら行うとよいでしょう。
納骨の際の服装は納骨式をする場合と同様に喪服が一般的のようです。ただし、自分で納骨をするとなると納骨室を開けたり、納骨室の構造によっては中にもぐって骨壺を納めたりする作業が出てきます。当日の服装は動きやすさを重視しながらも、略式の喪服や黒をベースとした服装でもよいかもしれません。
参列する人へも当日の服装については忘れずに連絡をしておきましょう。
自分で納骨する流れ
必要なのは埋葬許可証です。その他、納骨の手続きに必要なこともあるので印鑑は持参した方がよいでしょう。そして、お墓用の供花、お線香、数珠なども用意します。
お寺、霊園に到着したらまずは埋葬許可証を提出し、必要な手続きを済ませましょう。手続きを終えたらお墓に移動し、納骨室を開き室内を点検します。このとき、ずっと納骨室を開いていない場合は水が溜まっているかもしれません。その場合は水を掻きだすか、タオルで拭いておきます。
納骨室の内部に問題がないことが確認できたら骨壺を配置し、蓋石を閉めて完了です。自分で納骨する場合、法要は行わない方が多いようなので、自分たちでお花を供えお参りをしましょう。
納骨室の構造による納骨方法に注意
納骨室の構造は地方、特に関東と関西では異なります。関東エリアの納骨室は香炉下に拝石と呼ばれる蓋がありその下に広いスペース(地下カロート)があるのが一般的です。納骨の際は拝石を開けてその中に人が入って骨壺を納めます。拝石に使う石の種類によっては50キロを超えるものもあるので、動かす際には怪我のないよう慎重に行いましょう。
遺骨をすべて納めないため骨壺が小さい関西エリアの納骨室は、墓石を支える中台という場所に空間を作り、骨壺を納めます。香炉を動かすだけで納骨空間が見える作りになっているため、人の手を借りる必要がなく納骨ができるようです。
このように納骨室の構造や種類でも方法が変わるので、可能だったら事前に納骨室の構造を確認しておくとよいかもしれません。
納骨を依頼する場合の方法や流れ
ここまでは自分で納骨する際の流れや知っておくべきことなどを紹介してきました。ただ、新しくお墓を建てる場合や、自分での納骨を許可してもらえなかった場合など、さまざまな事情があり自分での納骨ができないこともあります。ここからは納骨を依頼する際の方法や流れを、すでにお墓がある場合を例に見ていきましょう。
当日までしておくこと
自分で納骨する場合と納骨を依頼する場合の違いには、納骨式を執り行うかどうかがあります。納骨式とは、遺骨をお墓に納める際に行う儀式です。
納骨式当日までには石材店に連絡をして、納骨作業とお墓の横にある墓誌に故人の名前や没年月日などを彫ってもらうよう依頼します。もし、納骨式で読経をしてもらうなら、お寺や霊園にその旨を依頼するのも忘れないようにしましょう。ただ、最近では親族のみで納骨式を行い、お寺への法要依頼はしないことも多いようです。
また、納骨式に参列する人数を決めて参列者に詳細を連絡する、式後の会食手配なども、式の規模によっては考えておいた方がよいかもしれません。
当日までに準備しておくものと当日の服装
納骨式当日までに準備しておくものの中で必須なのが、埋葬許可証と墓地使用許可証です。印鑑も一緒に持っていきましょう。お墓のあるお寺や地域によっては塔婆を用意する場合もあるかもしれません。
他に当日までに準備しておきたいものは、お寺に納骨式の法要をお願いする場合は謝礼となるお布施、車代、お墓への供花やお供え物、お線香などです。あらかじめチェックリスを作っておくと当日慌てることがないでしょう。
当日の服装は、四十九日や一周忌などの法要と納骨を合わせる場合は喪服を着ます。納骨式のみの場合は略式の喪服でもよいでしょう。
納骨式の流れ
納骨式当日、主催する側は早めにお墓に着いて、焼香台・お供え・供花などを準備しておきます。参加者が揃ったら遺族代表(施主)の挨拶です。参列のお礼、近況報告に加え、閉式後の会食についても触れておきましょう。
挨拶が終わったら石材店に納骨をお願いします。あるいは、拝石を石材店に開けてもらい遺族が納骨してもよいでしょう。僧侶に読経をお願いしている場合は納骨前後に読経があります。納骨後の読経中には焼香が行われ、全員の焼香と読経が済むと納骨式は終了です。納骨式終了後は会食またはそのまま解散となります。
お墓の納骨にかかる費用はどれくらいかかる?
納骨を依頼する場合と自分で納骨する場合、どちらにしても費用がかかります。納骨の費用内訳は僧侶へのお布施や車代、石材店への納骨作業依頼、会食代などです。ただ、自分で納骨する場合は費用の一部がかからないこともあります。一般的な納骨にかかる費用と自分で納骨する際の費用を見ていきましょう。
一般的な納骨にかかる費用
ここでは一般的な納骨とは、石材店に依頼することを指します。石材店に依頼するのは主に、墓誌への彫刻と納骨作業で、合わせておよそ7万円前後と考えておきましょう。納骨式をする場合は、僧侶へお布施3万円~5万円、車代に5,000円~1万円渡します。
納骨式の物品にも費用がかかることを忘れないようにしましょう。目安は5千円~1万円程度です。納骨式を終えて参列者と会食をする場合はその見積もりも出しておくとよいかもしれません。
自分で納骨する場合の費用
自分で納骨する場合は、通常石材店に依頼をする納骨作業を自分で行うことになるため、費用もかかりません。墓誌への彫刻作業は必ずしも入れなくてはいけない、ということではなさそうですが、お寺にお墓がある場合はそのお寺に相談した方がよさそうです。
また、納骨式についても僧侶を呼ばない、会食を行わない、など簡略化できるので、一般的な納骨費用よりは抑えられるかもしれません。
仏教以外の宗教では納骨方法などに違いはある?
日本には仏教以外の宗教を信仰している人もいます。では、宗教や宗派によって納骨方法に違いはあるのでしょうか。時期や納骨方法など、宗教によって異なる点をご紹介します。
キリスト教と神道について解説していきますが、キリスト教は仏教と同様に納骨時期は決まっていないようです。ただし、神道は仏教やキリスト教とは異なる流れで納骨が進んでいきます。
キリスト教の場合
キリスト教式で葬儀を終えた後、遺骨は仏教同様に納骨式の日が決まるまでは自宅の祭壇に遺骨を置いておきます。納骨式には神父または牧師に立ち会いをしてもらいましょう。
キリスト教の納骨式は、黙とう・讃美歌斉唱・聖書朗読の流れで進みます。最後に全員でお祈りをして終了です。お墓への納骨の仕方は仏教式と変わりません。お墓の前では両手を胸の前で組み、静かに故人への祈りを運びましょう。
神道の場合
道では、納骨式は「埋葬祭」と呼びます。神道は、仏教やキリスト教と異なり火葬後すぐに納骨するのが基本とされてきました。現在は他宗教と同じく遺骨を持ち帰り、仏教の四十九日にあたる五十日祭に納骨する人も多くなっているようです。
神道の埋葬祭ではまずお墓に祭壇を作ります。祭壇には神様や故人の好きだったものをお供えし、その後神職が祈りの言葉を捧げ、参加者が仏教の焼香代わりに玉串を供えるのです。最後に、お墓にお供えした食べ物などを参列者が食し、納骨が終了します。
まとめ
お墓への納骨は石材店に依頼することも、自分たちですることも、どちらも可能です。自分たちの手で遺骨を納める際には、事前の手続きや確認は忘れないようにしましょう。
もし、自分の納骨が難しい場合は専門の石材店の手を借りるとよいかもしれません。和泉家石材店は、創業130年の歴史と実績を持つ石材店です。納骨方法でお困りの際はぜひお気軽にご相談ください。