お盆って何ですか?
2017年12月20日
仏事における年中行事として、大きいものでお正月とお盆があります。お盆は8月(地域によっては7月)に行われます。昔から伝わるお盆のその役割や重要性を知ることはとても大切なことです。ご先祖様や仏様への心の在り方を、今一度見直してみましょう。
そもそもお盆って何?
良く耳にする『お盆』ですが、これは「盂蘭盆会」を略した言葉です。その裏には目蓮様と母親の隠れた物語があります。
お釈迦様の弟子の一人である目連様の母親は、餓鬼道に落ちてしまいました。そのことを知った目蓮様は、何とかして母親を救いだそうとしますがなかなか方法が見つかりません。
そこで、お釈迦様に相談します。どうしたら母親を救うことができるのでしょう。お釈迦様はお弟子の目蓮尊者に教えます。目蓮尊者はその教えに従い、無事に母親を救いだすことができました。
この物語が由来となり、仏事の行事として広まることになるのです。
地域ごとの違い
お盆は地域によって行われる時期が異なります。
◇7月13~15日(新暦)・・・関東北部、九州、四国、中国など
◇8月13~15日(旧暦)・・・北海道、東北、関東南部など
◇8月20日頃・・・沖縄など
7月は夏祭りなどの行事も多く、また、農作業の繁忙期でもあるので、8月にお盆をずらしたなど諸説あります。また、お寺に行く回数や日にちも様々で、特に関東や関西で別れているわけでもなく、宗派によって拝み方が違ってきます。浄土真宗は、飾りつけをしません。
また、お盆には盆棚(精霊棚)を出してご先祖様や生霊を迎えます。その棚には、真菰を敷いて使います。その昔、お釈迦様が、病人に真菰の敷物を使って治療したと言われていることから真菰を使うようになりました。
真菰の上には、位牌、仏像、過去帳、卓上灯籠、花、仏膳、水、お菓子、果物、手前にはロウソクや線香、リンなどを置きます。また、棚の両脇が空いているようなら、回転灯籠や行灯なども置きます。
精霊馬と呼ばれるきゅうりで作った馬、ナスで作った牛を飾ります。御先祖様や仏様が、馬を使って早く家に帰ってこれるように、送り盆には牛を使ってゆっくりあの世へ戻れるようにするためだと言われています。
初盆・新盆
四十九日(地域によっては百カ日)を過ぎてから迎える初めてのお盆を初盆と言います。読み方や言い方は様々で、「初盆(はつぼん)、新盆(あらぼん、にいぼん、しんぼん)」などがあります。初盆とふつうのお盆の大きな違いは、初盆は僧侶や親戚、知人を招き法要を行います。会食やお布施などの事前の準備が必要です。
また、玄関の外や中などに、白い提灯を下げる風習もあります。これは、初盆であることを知らせるためです。
片付け
お盆が終わったらお供えしていた果物や野菜、お菓子などは下げます。食べられるものがあれば家族でいただきます。また、傷んでいるもの、食べられないものは塩を振って燃やせるゴミなどに分別して処分します。
現在の在り方
お盆に限らず、仏事に関しては少しずつ簡略化しているようです。その背景には核家族の増加、高齢者の独り暮らし、家の間取りの変化などの要因が見え隠れしています。
昔の家は、平屋で広く座敷や茶の間がありました。盆棚も大きいものを出して、豪華に飾ったようです。現在の家の間取りの特徴として和室はあるものの、座敷や茶の間など、限られた部屋はだいぶ少なくなりました。
そこに盆棚を飾るとなると、とてもきついのでその部屋の大きさに合ったものを飾っています。盆棚ではなく、足のついた置きテーブルなどが代用されています。また、真菰や精霊馬、野菜や果物などは、お盆のセットなどとしてスーパーや、ホームセンターなどで売られています。
線香やろうそくは、最近年配者向けに、電池式のものやLEDのものが売られています。スイッチひとつでろうそくや線香の先が点灯するもので、安全、便利になりました。
まとめ
お盆という行事はすたれることはなく、日本の大切な伝統として引き継がれています。仏様や御先祖様に心から供養して、感謝をしましょう。